スーラ・ター・ハー سُورَة طه

スーラ・ター・ハーは、クルアーンの第20章であり、マッカで啓示されました。これは135の節で構成され、預言者ムーサー(モーセ)の物語、ファラオへの使命、およびアッラーが彼に示した奇跡や証拠を中心に述べられています。このスーラは、忍耐の重要性、アッラーへの信仰、および傲慢の拒絶を強調しています。

翻訳: スーラ ター・ハー (ター・ハー章) سُورَة طه

بِسْمِ اللَّهِ الرَّحْمَٰنِ الرَّحِيمِ

i

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

طه ١ i

ター・ハー。 (一)

مَا أَنْزَلْنَا عَلَيْكَ الْقُرْآنَ لِتَشْقَىٰ ٢ i

われがあなたにクルアーンを下したのは,あなたを悩ますためではない。 (二)

إِلَّا تَذْكِرَةً لِمَنْ يَخْشَىٰ ٣ i

主を畏れる者への,訓戒に外ならない。 (三)

تَنْزِيلًا مِمَّنْ خَلَقَ الْأَرْضَ وَالسَّمَاوَاتِ الْعُلَى ٤ i

大地と高い諸天とを創りなされる,かれから下された啓示である。 (四)

الرَّحْمَٰنُ عَلَى الْعَرْشِ اسْتَوَىٰ ٥ i

慈悲深き御方は,玉座に鎮座なされる。 (五)

لَهُ مَا فِي السَّمَاوَاتِ وَمَا فِي الْأَرْضِ وَمَا بَيْنَهُمَا وَمَا تَحْتَ الثَّرَىٰ ٦ i

天にあり地にあるもの,そしてその間にある凡てのもの,また,湿った土の下にあるものは,凡てかれのものである。 (六)

وَإِنْ تَجْهَرْ بِالْقَوْلِ فَإِنَّهُ يَعْلَمُ السِّرَّ وَأَخْفَى ٧ i

仮令あなたが大声で話しても(関りなく),かれは,秘められたことも隠されていることも知っておられる。 (七)

اللَّهُ لَا إِلَٰهَ إِلَّا هُوَ ۖ لَهُ الْأَسْمَاءُ الْحُسْنَىٰ ٨ i

アッラー,かれの外に神はないのである。最も美しい御名はかれに属する。 (八)

وَهَلْ أَتَاكَ حَدِيثُ مُوسَىٰ ٩ i

ムーサーの物語が,あなたに届いたか。 (九)

إِذْ رَأَىٰ نَارًا فَقَالَ لِأَهْلِهِ امْكُثُوا إِنِّي آنَسْتُ نَارًا لَعَلِّي آتِيكُمْ مِنْهَا بِقَبَسٍ أَوْ أَجِدُ عَلَى النَّارِ هُدًى ١٠ i

かれが火を見て,家族に言った時のことを思いなさい。「留まれ,わたしは火を見た。多分あそこから,火把を持ち帰ることが出来よう。あるいはあの火で,導かれるかもしれない。」 (十)

فَلَمَّا أَتَاهَا نُودِيَ يَا مُوسَىٰ ١١ i

だがかれがそこに来た時,声があって呼ばれた。「ムーサーよ, (十一)

إِنِّي أَنَا رَبُّكَ فَاخْلَعْ نَعْلَيْكَ ۖ إِنَّكَ بِالْوَادِ الْمُقَدَّسِ طُوًى ١٢ i

本当にわれはあなたの主である。だから靴を脱げ。今あなたは,トワーの聖谷にいるのである。 (十二)

وَأَنَا اخْتَرْتُكَ فَاسْتَمِعْ لِمَا يُوحَىٰ ١٣ i

われはあなたを選んだ。だから(あなたに)啓示することを聞け。 (十三)

إِنَّنِي أَنَا اللَّهُ لَا إِلَٰهَ إِلَّا أَنَا فَاعْبُدْنِي وَأَقِمِ الصَّلَاةَ لِذِكْرِي ١٤ i

本当にわれはアッラーである。われの外に神はない。だからわれに仕え,われを心に抱いて礼拝の務めを守れ。 (十四)

إِنَّ السَّاعَةَ آتِيَةٌ أَكَادُ أُخْفِيهَا لِتُجْزَىٰ كُلُّ نَفْسٍ بِمَا تَسْعَىٰ ١٥ i

確かに(終末の)時は来るのであるが,それを秘めて置きたいのは,各人が努力したところに応じ,報いを受けさせるためである。 (十五)

فَلَا يَصُدَّنَّكَ عَنْهَا مَنْ لَا يُؤْمِنُ بِهَا وَاتَّبَعَ هَوَاهُ فَتَرْدَىٰ ١٦ i

だから,これを信じないで自分の欲望に従う者たちから遠ざかり,あなたを破滅から救え。 (十六)

وَمَا تِلْكَ بِيَمِينِكَ يَا مُوسَىٰ ١٧ i

あなたの右手にあるそれは何か,ムーサーよ。」 (十七)

قَالَ هِيَ عَصَايَ أَتَوَكَّأُ عَلَيْهَا وَأَهُشُّ بِهَا عَلَىٰ غَنَمِي وَلِيَ فِيهَا مَآرِبُ أُخْرَىٰ ١٨ i

かれは申し上げた。「これは杖です。わたしはこれに(先?)れ,また羊のためにこれで(木の葉を)打ち落し,また,その外の用に供します。」 (十八)

قَالَ أَلْقِهَا يَا مُوسَىٰ ١٩ i

かれは仰せられた。「ムーサーよ,それを投げよ。」 (十九)

فَأَلْقَاهَا فَإِذَا هِيَ حَيَّةٌ تَسْعَىٰ ٢٠ i

かれがそれを投げたところ,即座にそれは蛇になって,這い回った。 (二十)

قَالَ خُذْهَا وَلَا تَخَفْ ۖ سَنُعِيدُهَا سِيرَتَهَا الْأُولَىٰ ٢١ i

かれは仰せられた。「それを押えよ。恐れてはならない。われはそれを元のように返すであろう。 (二十一)

وَاضْمُمْ يَدَكَ إِلَىٰ جَنَاحِكَ تَخْرُجْ بَيْضَاءَ مِنْ غَيْرِ سُوءٍ آيَةً أُخْرَىٰ ٢٢ i

それからあなたの手を,腋の下に入れよ。何の障りもないのに,それは白くなろう。これは今一つの印。 (二十二)

لِنُرِيَكَ مِنْ آيَاتِنَا الْكُبْرَى ٢٣ i

われが更に大きい印を,あなたに示すためである。 (二十三)

اذْهَبْ إِلَىٰ فِرْعَوْنَ إِنَّهُ طَغَىٰ ٢٤ i

あなたはフィルアウンのもとに行け。本当にかれは高慢非道である。」 (二十四)

قَالَ رَبِّ اشْرَحْ لِي صَدْرِي ٢٥ i

かれは(祈って)言った。「主よ,わたしの胸を広げて下さい。 (二十五)

وَيَسِّرْ لِي أَمْرِي ٢٦ i

わたしの仕事を容易にして下さい。 (二十六)

وَاحْلُلْ عُقْدَةً مِنْ لِسَانِي ٢٧ i

わたしの舌の(縫?)れをほぐして, (二十七)

يَفْقَهُوا قَوْلِي ٢٨ i

わたしの言葉を,かれらに分らせて下さい。 (二十八)

وَاجْعَلْ لِي وَزِيرًا مِنْ أَهْلِي ٢٩ i

またわたしの家族の中から,援助者を御授け下さい。 (二十九)

هَارُونَ أَخِي ٣٠ i

わたしの兄弟,ハールーンを, (三十)

اشْدُدْ بِهِ أَزْرِي ٣١ i

わたしに加勢し, (三十一)

وَأَشْرِكْهُ فِي أَمْرِي ٣٢ i

わたしの仕事に協力するようにさせて下さい。 (三十二)

كَيْ نُسَبِّحَكَ كَثِيرًا ٣٣ i

それはわたしたちが,あなたを多く讃え, (三十三)

وَنَذْكُرَكَ كَثِيرًا ٣٤ i

また不断にあなたを念ずるためであります。 (三十四)

إِنَّكَ كُنْتَ بِنَا بَصِيرًا ٣٥ i

本当にあなたこそ,わたしたちを見守り下される方であります。」 (三十五)

قَالَ قَدْ أُوتِيتَ سُؤْلَكَ يَا مُوسَىٰ ٣٦ i

かれは仰せられた。「ムーサーよ,本当にあなたの願いは聞き届けられた。 (三十六)

وَلَقَدْ مَنَنَّا عَلَيْكَ مَرَّةً أُخْرَىٰ ٣٧ i

われは,この前にもあなたに恵・を施した。 (三十七)

إِذْ أَوْحَيْنَا إِلَىٰ أُمِّكَ مَا يُوحَىٰ ٣٨ i

その時は,わが意志をあなたの母に伝えた。 (三十八)

أَنِ اقْذِفِيهِ فِي التَّابُوتِ فَاقْذِفِيهِ فِي الْيَمِّ فَلْيُلْقِهِ الْيَمُّ بِالسَّاحِلِ يَأْخُذْهُ عَدُوٌّ لِي وَعَدُوٌّ لَهُ ۚ وَأَلْقَيْتُ عَلَيْكَ مَحَبَّةً مِنِّي وَلِتُصْنَعَ عَلَىٰ عَيْنِي ٣٩ i

『(その子を)箱の中に入れて,川に投げよ。川がかれを蟹にうち上げ,われの敵であり,またこの子の敵が拾い上げよう。』そしてあなたの上に,われの愛を注ぎかける。それでわれの目(保護)のもとで育てられることになろう。 (三十九)

إِذْ تَمْشِي أُخْتُكَ فَتَقُولُ هَلْ أَدُلُّكُمْ عَلَىٰ مَنْ يَكْفُلُهُ ۖ فَرَجَعْنَاكَ إِلَىٰ أُمِّكَ كَيْ تَقَرَّ عَيْنُهَا وَلَا تَحْزَنَ ۚ وَقَتَلْتَ نَفْسًا فَنَجَّيْنَاكَ مِنَ الْغَمِّ وَفَتَنَّاكَ فُتُونًا ۚ فَلَبِثْتَ سِنِينَ فِي أَهْلِ مَدْيَنَ ثُمَّ جِئْتَ عَلَىٰ قَدَرٍ يَا مُوسَىٰ ٤٠ i

その時あなたの姉が,罷り出て,『わたしが(その子を)育てる者を,御教えしましょうか。』と言った。こうしてわれは,母の手にあなたを返し,それでかの女も満足し,悲し・も消えた。またあなたは人を殺した。だがわれは苦悩からあなたを救い,いろいろとあなたを試・た。それから数年の間,マドヤンの民の中に滞巧し,それから定められたように,あなたはここに来たのであろ。ムーサーよ。 (四十)

وَاصْطَنَعْتُكَ لِنَفْسِي ٤١ i

われはあなたをわれ(に奉仕させる)ために,育てあげた。 (四十一)

اذْهَبْ أَنْتَ وَأَخُوكَ بِآيَاتِي وَلَا تَنِيَا فِي ذِكْرِي ٤٢ i

あなたと兄弟は,われの印を携えて行け。そしてわれを念ずることを怠ってはならない。 (四十二)

اذْهَبَا إِلَىٰ فِرْعَوْنَ إِنَّهُ طَغَىٰ ٤٣ i

あなたがた両人はフィルアウンの許に行け。本当にかれは高慢非道である。 (四十三)

فَقُولَا لَهُ قَوْلًا لَيِّنًا لَعَلَّهُ يَتَذَكَّرُ أَوْ يَخْشَىٰ ٤٤ i

だがかれにもの静かな説き方で語れ。かれは訓戒を受け入れるか,またはわれを恐れるであろう。」 (四十四)

قَالَا رَبَّنَا إِنَّنَا نَخَافُ أَنْ يَفْرُطَ عَلَيْنَا أَوْ أَنْ يَطْغَىٰ ٤٥ i

かれら両人は言った。「主よ,本当にかれが急いでわたしたちに(害を加え)また法外のことをするのを恐れます。」 (四十五)

قَالَ لَا تَخَافَا ۖ إِنَّنِي مَعَكُمَا أَسْمَعُ وَأَرَىٰ ٤٦ i

かれは仰せられた。「恐れることはない。本当にわれは,あなたがたと一緒にいる。聞いており見ているのである。 (四十六)

فَأْتِيَاهُ فَقُولَا إِنَّا رَسُولَا رَبِّكَ فَأَرْسِلْ مَعَنَا بَنِي إِسْرَائِيلَ وَلَا تُعَذِّبْهُمْ ۖ قَدْ جِئْنَاكَ بِآيَةٍ مِنْ رَبِّكَ ۖ وَالسَّلَامُ عَلَىٰ مَنِ اتَّبَعَ الْهُدَىٰ ٤٧ i

だからあなたがた両人は行って,かれに言ってやるがいい。『本当にわたしたちは,あなたの主の使徒である。だからわたしたちと一緒にイスラエルの子孫たちを釈放し,かれらを苦しめてはならない。本当にわたしたちは,印を持ってあなたの主から来た者である。御導きに従う者は,平安である。 (四十七)

إِنَّا قَدْ أُوحِيَ إِلَيْنَا أَنَّ الْعَذَابَ عَلَىٰ مَنْ كَذَّبَ وَتَوَلَّىٰ ٤٨ i

本当にわたしたちに,確かに啓示されたのである。拒否する者また背き去る者には懲罰(が待ち構えているだけである)。』」 (四十八)

قَالَ فَمَنْ رَبُّكُمَا يَا مُوسَىٰ ٤٩ i

かれ(フィルアウン)は言った。「ムーサーよ,あなたがたの主は誰であるのか。」 (四十九)

قَالَ رَبُّنَا الَّذِي أَعْطَىٰ كُلَّ شَيْءٍ خَلْقَهُ ثُمَّ هَدَىٰ ٥٠ i

かれは(答えて)言った。「わたしたちの主こそは,万有を創造し,一人一人に(姿や資質その外を)賦与され,更に導きを与える方である。」 (五十)

قَالَ فَمَا بَالُ الْقُرُونِ الْأُولَىٰ ٥١ i

かれ(フィルアウン)は言った。「それなら過ぎ去った世代の者はどうなるのか。」 (五十一)

قَالَ عِلْمُهَا عِنْدَ رَبِّي فِي كِتَابٍ ۖ لَا يَضِلُّ رَبِّي وَلَا يَنْسَى ٥٢ i

かれは言った。「それに関する知識は,書冊に記されて主の御許にあります。わたしの主は,誤りを犯すこともなく,忘れることもありません。 (五十二)

الَّذِي جَعَلَ لَكُمُ الْأَرْضَ مَهْدًا وَسَلَكَ لَكُمْ فِيهَا سُبُلًا وَأَنْزَلَ مِنَ السَّمَاءِ مَاءً فَأَخْرَجْنَا بِهِ أَزْوَاجًا مِنْ نَبَاتٍ شَتَّىٰ ٥٣ i

かれは,大地をあなたがたの臥床とされ,あなたがたのため,そこに道を縦横につけ,また天から雨を降らせられる。それによって,われはそれぞれの異なった雌雄の植物を生長させる。 (五十三)

كُلُوا وَارْعَوْا أَنْعَامَكُمْ ۗ إِنَّ فِي ذَٰلِكَ لَآيَاتٍ لِأُولِي النُّهَىٰ ٥٤ i

食べ,またあなたがたの家畜を放牧しなさい。本当にその中には,理知ある者への種々の印がある。 (五十四)

مِنْهَا خَلَقْنَاكُمْ وَفِيهَا نُعِيدُكُمْ وَمِنْهَا نُخْرِجُكُمْ تَارَةً أُخْرَىٰ ٥٥ i

われは,それ(泥)からあなたがたを創り,それにあなたがたを帰らせ,またそれから今一度引き出すのである。」 (五十五)

وَلَقَدْ أَرَيْنَاهُ آيَاتِنَا كُلَّهَا فَكَذَّبَ وَأَبَىٰ ٥٦ i

われはかれ(フィルアウン)に,凡てのわが印を示したのだが,かれは虚偽であるとして拒否した。 (五十六)

قَالَ أَجِئْتَنَا لِتُخْرِجَنَا مِنْ أَرْضِنَا بِسِحْرِكَ يَا مُوسَىٰ ٥٧ i

かれは言った。「ムーサーよ,あなたがたは魔術で,この国からわたしたちを追い出すために来たのか。 (五十七)

فَلَنَأْتِيَنَّكَ بِسِحْرٍ مِثْلِهِ فَاجْعَلْ بَيْنَنَا وَبَيْنَكَ مَوْعِدًا لَا نُخْلِفُهُ نَحْنُ وَلَا أَنْتَ مَكَانًا سُوًى ٥٨ i

それなら,わたしたちもそのような魔術をあなたに持ち出そう。さあ,わたしたちとあなたの間で約束して公開の場所を定め,わたしたちもあなたもそれを違えないようにしよう。」 (五十八)

قَالَ مَوْعِدُكُمْ يَوْمُ الزِّينَةِ وَأَنْ يُحْشَرَ النَّاسُ ضُحًى ٥٩ i

かれ(ムーサー)は言った。「あなたとの会合の約束は,祭の日である。人びとを昼前に御集め下さい。」 (五十九)

فَتَوَلَّىٰ فِرْعَوْنُ فَجَمَعَ كَيْدَهُ ثُمَّ أَتَىٰ ٦٠ i

そこでフィルアウンは引き取り,やがて計画を練って(返って)来た。 (六十)

قَالَ لَهُمْ مُوسَىٰ وَيْلَكُمْ لَا تَفْتَرُوا عَلَى اللَّهِ كَذِبًا فَيُسْحِتَكُمْ بِعَذَابٍ ۖ وَقَدْ خَابَ مَنِ افْتَرَىٰ ٦١ i

ムーサーはかれらに言った。「あなたがたは災いに会うだろう。かれがあなたがたを処罰して滅ぼされることのないよう,アッラーに対し捏造し,嘘を言ってはならない。(嘘を)捏造する者は必ず失敗する。」 (六十一)

فَتَنَازَعُوا أَمْرَهُمْ بَيْنَهُمْ وَأَسَرُّوا النَّجْوَىٰ ٦٢ i

そこでかれらはお栗いに策を練って論じあったが,勿論その相談は秘密にした。 (六十二)

قَالُوا إِنْ هَٰذَانِ لَسَاحِرَانِ يُرِيدَانِ أَنْ يُخْرِجَاكُمْ مِنْ أَرْضِكُمْ بِسِحْرِهِمَا وَيَذْهَبَا بِطَرِيقَتِكُمُ الْمُثْلَىٰ ٦٣ i

かれらは言った。「確かに両人は魔術師である。かれらはあの魔術であなたがたを国土から追い出し,あなたがたの優れた習わしを根絶しようと望んでいる。 (六十三)

فَأَجْمِعُوا كَيْدَكُمْ ثُمَّ ائْتُوا صَفًّا ۚ وَقَدْ أَفْلَحَ الْيَوْمَ مَنِ اسْتَعْلَىٰ ٦٤ i

それで各自の計画を練り,それから列をなして集れ。今日勝利を得る者は,必ず栄えるのである。」 (六十四)

قَالُوا يَا مُوسَىٰ إِمَّا أَنْ تُلْقِيَ وَإِمَّا أَنْ نَكُونَ أَوَّلَ مَنْ أَلْقَىٰ ٦٥ i

かれらは言った。「ムーサーよ,あなたが投げるか,それともわたしたちが先に投げようか。」 (六十五)

قَالَ بَلْ أَلْقُوا ۖ فَإِذَا حِبَالُهُمْ وَعِصِيُّهُمْ يُخَيَّلُ إِلَيْهِ مِنْ سِحْرِهِمْ أَنَّهَا تَسْعَىٰ ٦٦ i

かれ(ムーサー)は言った。「いや,あなたがたが先に投げなさい。」すると見るがいい。かれには縄と杖が,魔術で(活きて)走るかのように見えた。 (六十六)

فَأَوْجَسَ فِي نَفْسِهِ خِيفَةً مُوسَىٰ ٦٧ i

それでムーサーは,少し心に恐れを感じた。 (六十七)

قُلْنَا لَا تَخَفْ إِنَّكَ أَنْتَ الْأَعْلَىٰ ٦٨ i

われは言った。「恐れるには及ばない。本当にあなたが上手である。 (六十八)

وَأَلْقِ مَا فِي يَمِينِكَ تَلْقَفْ مَا صَنَعُوا ۖ إِنَّمَا صَنَعُوا كَيْدُ سَاحِرٍ ۖ وَلَا يُفْلِحُ السَّاحِرُ حَيْثُ أَتَىٰ ٦٩ i

あなたの右手にあるものを投げなさい。かれらが作ったものを呑・込め。魔術師の誤魔化しに過ぎない。魔術師は何処から来ても,(何事も)成功しない。」 (六十九)

فَأُلْقِيَ السَّحَرَةُ سُجَّدًا قَالُوا آمَنَّا بِرَبِّ هَارُونَ وَمُوسَىٰ ٧٠ i

そこで魔術師たちは,伏してサジダし,「わたしたちは,ムーサーとハールーンの主を信仰します。」と言った。 (七十)

قَالَ آمَنْتُمْ لَهُ قَبْلَ أَنْ آذَنَ لَكُمْ ۖ إِنَّهُ لَكَبِيرُكُمُ الَّذِي عَلَّمَكُمُ السِّحْرَ ۖ فَلَأُقَطِّعَنَّ أَيْدِيَكُمْ وَأَرْجُلَكُمْ مِنْ خِلَافٍ وَلَأُصَلِّبَنَّكُمْ فِي جُذُوعِ النَّخْلِ وَلَتَعْلَمُنَّ أَيُّنَا أَشَدُّ عَذَابًا وَأَبْقَىٰ ٧١ i

かれ(フィルアウン)は言った。「わたしが許さない中に,かれを信じるのか。本当にかれは,あなたがたに魔術を教えたあなたがたの頭目であろう。あなたがたの両手と両足を栗い違いに切断して,ナツメヤシの幹に貼り付けにするであろう。あなたがたはどちらの懲罰がより厳重で,永続するか必ず分るであろう。」 (七十一)

قَالُوا لَنْ نُؤْثِرَكَ عَلَىٰ مَا جَاءَنَا مِنَ الْبَيِّنَاتِ وَالَّذِي فَطَرَنَا ۖ فَاقْضِ مَا أَنْتَ قَاضٍ ۖ إِنَّمَا تَقْضِي هَٰذِهِ الْحَيَاةَ الدُّنْيَا ٧٢ i

かれら(魔術師)は言った。「わたしたちは,わたしたちに示された明白な印,またわたしたちを創造なされたかれ以上に,あなたを重んじることは不可能です。それであなたの決定されることを実施して下さい。だがあなたは,現世の生活においてだけ,判決なさるに過ぎません。 (七十二)

إِنَّا آمَنَّا بِرَبِّنَا لِيَغْفِرَ لَنَا خَطَايَانَا وَمَا أَكْرَهْتَنَا عَلَيْهِ مِنَ السِّحْرِ ۗ وَاللَّهُ خَيْرٌ وَأَبْقَىٰ ٧٣ i

本当にわたしたちが主を信仰するのは,わたしたちの誤ちの御赦しを請い,またあなたが無理じいでした魔術に対して,御赦しを請うためであります。アッラーは至善にして永久に生きられる方であられます。」 (七十三)

إِنَّهُ مَنْ يَأْتِ رَبَّهُ مُجْرِمًا فَإِنَّ لَهُ جَهَنَّمَ لَا يَمُوتُ فِيهَا وَلَا يَحْيَىٰ ٧٤ i

罪人として主の御許に来る者には,本当に地獄がある。その中でかれは死もなく生もない。 (七十四)

وَمَنْ يَأْتِهِ مُؤْمِنًا قَدْ عَمِلَ الصَّالِحَاتِ فَأُولَٰئِكَ لَهُمُ الدَّرَجَاتُ الْعُلَىٰ ٧٥ i

だが,多くの善行をして,信者としてかれの許に来た者には高い位階を与える。 (七十五)

جَنَّاتُ عَدْنٍ تَجْرِي مِنْ تَحْتِهَا الْأَنْهَارُ خَالِدِينَ فِيهَا ۚ وَذَٰلِكَ جَزَاءُ مَنْ تَزَكَّىٰ ٧٦ i

かれ(信者)は永遠に川が下を流れるアドン(エデン)の楽園に住むのである。これは,自分を純潔に守った者への報奨である。 (七十六)

وَلَقَدْ أَوْحَيْنَا إِلَىٰ مُوسَىٰ أَنْ أَسْرِ بِعِبَادِي فَاضْرِبْ لَهُمْ طَرِيقًا فِي الْبَحْرِ يَبَسًا لَا تَخَافُ دَرَكًا وَلَا تَخْشَىٰ ٧٧ i

われはムーサーに啓示した。「われのしもべたちと共に夜に旅立って,かれら(イスラエルの民)のために,海の中に乾いた道を(あなたの杖で)打ち開け。(フィルアウンの軍勢に)追い付かれることを心配するな。また(海を)柿がることはない。」 (七十七)

فَأَتْبَعَهُمْ فِرْعَوْنُ بِجُنُودِهِ فَغَشِيَهُمْ مِنَ الْيَمِّ مَا غَشِيَهُمْ ٧٨ i

果してフィルアウンは,軍勢を率いてかれら(イスラエルの民)を追ったが,海水がかれらを完全に水中に沈め覆ってしまった。 (七十八)

وَأَضَلَّ فِرْعَوْنُ قَوْمَهُ وَمَا هَدَىٰ ٧٩ i

(このように)フィルアウンはその民を迷わせ,正しく導かなかったのである。 (七十九)

يَا بَنِي إِسْرَائِيلَ قَدْ أَنْجَيْنَاكُمْ مِنْ عَدُوِّكُمْ وَوَاعَدْنَاكُمْ جَانِبَ الطُّورِ الْأَيْمَنَ وَنَزَّلْنَا عَلَيْكُمُ الْمَنَّ وَالسَّلْوَىٰ ٨٠ i

イスラエルの子孫よ,われはあなたがたを敵から救い,また(シナイ)山の右側であなたがたと約束を結び,マンナとウズラをあなたがたに下した。 (八十)

كُلُوا مِنْ طَيِّبَاتِ مَا رَزَقْنَاكُمْ وَلَا تَطْغَوْا فِيهِ فَيَحِلَّ عَلَيْكُمْ غَضَبِي ۖ وَمَنْ يَحْلِلْ عَلَيْهِ غَضَبِي فَقَدْ هَوَىٰ ٨١ i

(そしてわれは言った。)「われがあなたがたに授けた善いものを食べなさい。さりとてわれの怒りがあなたがたに下らないよう,法を越えてはならない。誰でもわれの怒りに触れる者は,必ず滅びる。 (八十一)

وَإِنِّي لَغَفَّارٌ لِمَنْ تَابَ وَآمَنَ وَعَمِلَ صَالِحًا ثُمَّ اهْتَدَىٰ ٨٢ i

だが梅悟して信仰し,善行に動し・,その後(正しく)導かれる者には,われは度々寛容を示す。」 (八十二)

وَمَا أَعْجَلَكَ عَنْ قَوْمِكَ يَا مُوسَىٰ ٨٣ i

「ムーサーよ,何故あなたは,自分の民より離れ,先んじて急ぐのか。」 (八十三)

قَالَ هُمْ أُولَاءِ عَلَىٰ أَثَرِي وَعَجِلْتُ إِلَيْكَ رَبِّ لِتَرْضَىٰ ٨٤ i

かれは申し上げた。「かれらは,わたしの足跡を追って参ります。主よ,わたしはあなたが御喜びになるよう急いだのです。」 (八十四)

قَالَ فَإِنَّا قَدْ فَتَنَّا قَوْمَكَ مِنْ بَعْدِكَ وَأَضَلَّهُمُ السَّامِرِيُّ ٨٥ i

かれは仰せられた。「本当にわれはあなたの去った後あなたの民を試・たが,サーミリーがかれらを迷わせた。」 (八十五)

فَرَجَعَ مُوسَىٰ إِلَىٰ قَوْمِهِ غَضْبَانَ أَسِفًا ۚ قَالَ يَا قَوْمِ أَلَمْ يَعِدْكُمْ رَبُّكُمْ وَعْدًا حَسَنًا ۚ أَفَطَالَ عَلَيْكُمُ الْعَهْدُ أَمْ أَرَدْتُمْ أَنْ يَحِلَّ عَلَيْكُمْ غَضَبٌ مِنْ رَبِّكُمْ فَأَخْلَفْتُمْ مَوْعِدِي ٨٦ i

そこでムーサーは,怒り悲しんで民の許に帰り,言った。「わたしの人びとよ,あなたがたの主は,善い約束をあなたがたに結ばれなかったのですか。あなたがたには余りに長い約束のように思われたのですか。それとも主からの御怒りがあなたがたに下ることを望んだのですか。だからわたしとの約束を違えたのですか。」 (八十六)

قَالُوا مَا أَخْلَفْنَا مَوْعِدَكَ بِمَلْكِنَا وَلَٰكِنَّا حُمِّلْنَا أَوْزَارًا مِنْ زِينَةِ الْقَوْمِ فَقَذَفْنَاهَا فَكَذَٰلِكَ أَلْقَى السَّامِرِيُّ ٨٧ i

かれらは言った。「わたしたちは自分に確かな根拠があって,あなたとの約束を破ったのではないのです。わたしたちはエジプト人の,装飾品の重荷を負わされたので,それを(火の中に)投げ入れたのです。サーミリーも投げ込んだようにです。」 (八十七)

فَأَخْرَجَ لَهُمْ عِجْلًا جَسَدًا لَهُ خُوَارٌ فَقَالُوا هَٰذَا إِلَٰهُكُمْ وَإِلَٰهُ مُوسَىٰ فَنَسِيَ ٨٨ i

そこでかれ(サーミリー)は,かれら(イスラエルの民)のために,吼える仔牛の偶像を造った。そして言った。「これはあなたがたの神で,またムーサーの神です,かれは忘れたのです。」 (八十八)

أَفَلَا يَرَوْنَ أَلَّا يَرْجِعُ إِلَيْهِمْ قَوْلًا وَلَا يَمْلِكُ لَهُمْ ضَرًّا وَلَا نَفْعًا ٨٩ i

それは,一言もかれらに答えず,またかれらに害もなく益もないことが分らないのであろうか。 (八十九)

وَلَقَدْ قَالَ لَهُمْ هَارُونُ مِنْ قَبْلُ يَا قَوْمِ إِنَّمَا فُتِنْتُمْ بِهِ ۖ وَإِنَّ رَبَّكُمُ الرَّحْمَٰنُ فَاتَّبِعُونِي وَأَطِيعُوا أَمْرِي ٩٠ i

ハールーンは(この事の)前に,充分にかれらに言った。「人びとよ。あなたがたはこれによって試・られるのです。主は,本当に慈悲深い方です。だからわたしに従い,わたしの命令に服従しなさい。」 (九十)

قَالُوا لَنْ نَبْرَحَ عَلَيْهِ عَاكِفِينَ حَتَّىٰ يَرْجِعَ إِلَيْنَا مُوسَىٰ ٩١ i

かれらは言った。「わたしたちは,ムーサーが帰って来るまで,(仔牛)を拝・続けるでしょう。」 (九十一)

قَالَ يَا هَارُونُ مَا مَنَعَكَ إِذْ رَأَيْتَهُمْ ضَلُّوا ٩٢ i

かれ(ムーサー)は言った。「ハールーンよ,かれらが迷うのを見た時,何があなた(の義務の履行)を妨げたのですか。 (九十二)

أَلَّا تَتَّبِعَنِ ۖ أَفَعَصَيْتَ أَمْرِي ٩٣ i

わたしに従わないのですか。わたしの命令に背くのですか。」 (九十三)

قَالَ يَا ابْنَ أُمَّ لَا تَأْخُذْ بِلِحْيَتِي وَلَا بِرَأْسِي ۖ إِنِّي خَشِيتُ أَنْ تَقُولَ فَرَّقْتَ بَيْنَ بَنِي إِسْرَائِيلَ وَلَمْ تَرْقُبْ قَوْلِي ٩٤ i

かれ(ハールーン)は言った。「わたしの母の子よ,わたしの髭や頭(の髪)を(楓?)むのを止めてください。本当にわたしはあなたが,『イスラエルの子孫の間を分裂させました。また自分の言葉を守りませんでした。』と言うのを恐れたのです。」 (九十四)

قَالَ فَمَا خَطْبُكَ يَا سَامِرِيُّ ٩٥ i

かれ(ムーサー)は言った。「ではサーミリーよ,あなたの(行ったことの)目的は何ですか。」 (九十五)

قَالَ بَصُرْتُ بِمَا لَمْ يَبْصُرُوا بِهِ فَقَبَضْتُ قَبْضَةً مِنْ أَثَرِ الرَّسُولِ فَنَبَذْتُهَا وَكَذَٰلِكَ سَوَّلَتْ لِي نَفْسِي ٩٦ i

かれは言った。「わたしは,かれらの見なかったものを見たのです。それで使徒の足跡から一握りの(土)を取って,それを(仔牛の像)に投げつけたのです。わたしの心が,そうわたしに示唆したのです。」 (九十六)

قَالَ فَاذْهَبْ فَإِنَّ لَكَ فِي الْحَيَاةِ أَنْ تَقُولَ لَا مِسَاسَ ۖ وَإِنَّ لَكَ مَوْعِدًا لَنْ تُخْلَفَهُ ۖ وَانْظُرْ إِلَىٰ إِلَٰهِكَ الَّذِي ظَلْتَ عَلَيْهِ عَاكِفًا ۖ لَنُحَرِّقَنَّهُ ثُمَّ لَنَنْسِفَنَّهُ فِي الْيَمِّ نَسْفًا ٩٧ i

かれ(ムーサー)は言った。「出ていきなさい。生きている限りは,誰とも接触がなくなる。決して破れない約束(処罰)があなたにはある。あなたがのめり込んで崇拝していた神々を見なさい。わたしたちはこんなものは焼いて海の中にまき散らすでしょう。 (九十七)

إِنَّمَا إِلَٰهُكُمُ اللَّهُ الَّذِي لَا إِلَٰهَ إِلَّا هُوَ ۚ وَسِعَ كُلَّ شَيْءٍ عِلْمًا ٩٨ i

(人びとよ)本当にあなたがたの神はアッラーだけです。かれの外に神はないのです。かれは,凡てのものをその御知識に包容なされます。」 (九十八)

كَذَٰلِكَ نَقُصُّ عَلَيْكَ مِنْ أَنْبَاءِ مَا قَدْ سَبَقَ ۚ وَقَدْ آتَيْنَاكَ مِنْ لَدُنَّا ذِكْرًا ٩٩ i

このようにわれは,以前に起った消息をあなたに語り,わが許からあなたに訓戒を下した。 (九十九)

مَنْ أَعْرَضَ عَنْهُ فَإِنَّهُ يَحْمِلُ يَوْمَ الْقِيَامَةِ وِزْرًا ١٠٠ i

誰でもそれに背く者は,復活の日に必ず重荷を負うであろう。 (一百)

خَالِدِينَ فِيهِ ۖ وَسَاءَ لَهُمْ يَوْمَ الْقِيَامَةِ حِمْلًا ١٠١ i

かれらはいつまでもこの状態のままである。復活の日の重荷こそ,かれらにとり災いである。 (一百〇一)

يَوْمَ يُنْفَخُ فِي الصُّورِ ۚ وَنَحْشُرُ الْمُجْرِمِينَ يَوْمَئِذٍ زُرْقًا ١٠٢ i

ラッパが吹かれる日,この日われは曇った目の罪深い者を招集する。 (一百〇二)

يَتَخَافَتُونَ بَيْنَهُمْ إِنْ لَبِثْتُمْ إِلَّا عَشْرًا ١٠٣ i

かれらは囁きあって,「あなたがたは10(日)も滞巧しなかったであろう。」と言う。 (一百〇三)

نَحْنُ أَعْلَمُ بِمَا يَقُولُونَ إِذْ يَقُولُ أَمْثَلُهُمْ طَرِيقَةً إِنْ لَبِثْتُمْ إِلَّا يَوْمًا ١٠٤ i

われはかれらの言おうとすることをよく知っている。その時最も世故にたけた者が,「わたしたちの滞巧は1日にもならない。」と言うであろう。 (一百〇四)

وَيَسْأَلُونَكَ عَنِ الْجِبَالِ فَقُلْ يَنْسِفُهَا رَبِّي نَسْفًا ١٠٥ i

かれらは山に就いて,あなたに問うであろう。そこで言ってやるがいい。「わたしの主は,それを粉々にして捲き散らされる。 (一百〇五)

فَيَذَرُهَا قَاعًا صَفْصَفًا ١٠٦ i

かれは,それを平らな平地になされ, (一百〇六)

لَا تَرَىٰ فِيهَا عِوَجًا وَلَا أَمْتًا ١٠٧ i

そこには,曲りも凹凸も見ないでしょう。」 (一百〇七)

يَوْمَئِذٍ يَتَّبِعُونَ الدَّاعِيَ لَا عِوَجَ لَهُ ۖ وَخَشَعَتِ الْأَصْوَاتُ لِلرَّحْمَٰنِ فَلَا تَسْمَعُ إِلَّا هَمْسًا ١٠٨ i

その日かれらは呼び手に従い逸れるわけにはいかない。慈悲深い御方の御前では,声は低くなり,忍び足の音の外は聞かないであろう。 (一百〇八)

يَوْمَئِذٍ لَا تَنْفَعُ الشَّفَاعَةُ إِلَّا مَنْ أَذِنَ لَهُ الرَّحْمَٰنُ وَرَضِيَ لَهُ قَوْلًا ١٠٩ i

その日,慈悲深い御方に御許しを得ている者以外の執り成しは無益であろう。その者の言葉は,かれに受け入れられる。 (一百〇九)

يَعْلَمُ مَا بَيْنَ أَيْدِيهِمْ وَمَا خَلْفَهُمْ وَلَا يُحِيطُونَ بِهِ عِلْمًا ١١٠ i

かれは,かれらの前にあること,後ろにあることを知っておられる。だがかれら(人間)の知識では,それを計り知ることは出来ない。 (一百一十)

وَعَنَتِ الْوُجُوهُ لِلْحَيِّ الْقَيُّومِ ۖ وَقَدْ خَابَ مَنْ حَمَلَ ظُلْمًا ١١١ i

かれらの顔は,永生し自存する御方の御前でうつむいているであろう。そして罪業を負うものに,浮ぶ瀬はない。 (一百一十一)

وَمَنْ يَعْمَلْ مِنَ الصَّالِحَاتِ وَهُوَ مُؤْمِنٌ فَلَا يَخَافُ ظُلْمًا وَلَا هَضْمًا ١١٢ i

だが善行に動し・,信仰した者は,何の心配もなく,(主からの報奨を)減らされることもないのである。 (一百一十二)

وَكَذَٰلِكَ أَنْزَلْنَاهُ قُرْآنًا عَرَبِيًّا وَصَرَّفْنَا فِيهِ مِنَ الْوَعِيدِ لَعَلَّهُمْ يَتَّقُونَ أَوْ يُحْدِثُ لَهُمْ ذِكْرًا ١١٣ i

このように,われはこの啓示をアラビア語のクルア―ンとして下し,その中でいろいろと警告を伝えた。多分かれらは主を畏れ,または教訓を会得しよう。 (一百一十三)

فَتَعَالَى اللَّهُ الْمَلِكُ الْحَقُّ ۗ وَلَا تَعْجَلْ بِالْقُرْآنِ مِنْ قَبْلِ أَنْ يُقْضَىٰ إِلَيْكَ وَحْيُهُ ۖ وَقُلْ رَبِّ زِدْنِي عِلْمًا ١١٤ i

アッラーは,いと高くおられる真の王者である。あなた(預言者ムハンマド)に対する啓示が完了しない前に,クルアーンを急いではならない。寧ろ(祈って)言いなさい。「主よ,わたしの知識を深めて下さい。」 (一百一十四)

وَلَقَدْ عَهِدْنَا إِلَىٰ آدَمَ مِنْ قَبْلُ فَنَسِيَ وَلَمْ نَجِدْ لَهُ عَزْمًا ١١٥ i

われは,以前にアーダムに確と約束した。だがかれは(その履行を)忘れた。われは,かれがそれに堅固であるとは認めない。 (一百一十五)

وَإِذْ قُلْنَا لِلْمَلَائِكَةِ اسْجُدُوا لِآدَمَ فَسَجَدُوا إِلَّا إِبْلِيسَ أَبَىٰ ١١٦ i

われが天使たちに対し,「アーダムにサジダしなさい。」と言った時を思いなさい。イブリースの外かれらはサジダした。だがかれは拒否した。 (一百一十六)

فَقُلْنَا يَا آدَمُ إِنَّ هَٰذَا عَدُوٌّ لَكَ وَلِزَوْجِكَ فَلَا يُخْرِجَنَّكُمَا مِنَ الْجَنَّةِ فَتَشْقَىٰ ١١٧ i

それでわれは言った。「アーダムよ,本当にこの者は,あなたとあなたの妻の敵である。それであなたがた両人はこの楽園から追い出されて,不幸に陥いらないよう気を付けなさい。 (一百一十七)

إِنَّ لَكَ أَلَّا تَجُوعَ فِيهَا وَلَا تَعْرَىٰ ١١٨ i

ここでは,あなたがたのために(十分の御恵・があって)飢えもなく,裸になることもない。 (一百一十八)

وَأَنَّكَ لَا تَظْمَأُ فِيهَا وَلَا تَضْحَىٰ ١١٩ i

また渇きを覚えることもなく,太陽の暑さにも晒されない。」 (一百一十九)

فَوَسْوَسَ إِلَيْهِ الشَّيْطَانُ قَالَ يَا آدَمُ هَلْ أَدُلُّكَ عَلَىٰ شَجَرَةِ الْخُلْدِ وَمُلْكٍ لَا يَبْلَىٰ ١٢٠ i

しかし悪魔はかれに囁いて言った。「アーダムよ。わたしはあなたに永生の木と,衰えることのない王権を教えてあげましょう。」 (一百二十)

فَأَكَلَا مِنْهَا فَبَدَتْ لَهُمَا سَوْآتُهُمَا وَطَفِقَا يَخْصِفَانِ عَلَيْهِمَا مِنْ وَرَقِ الْجَنَّةِ ۚ وَعَصَىٰ آدَمُ رَبَّهُ فَغَوَىٰ ١٢١ i

両人がそれを食べると,恥かしいところがあらわになった。それでかれらはその園の木の葉でそこを覆い始めた。こうしてアーダムは主に背き,誤ちを犯した。 (一百二十一)

ثُمَّ اجْتَبَاهُ رَبُّهُ فَتَابَ عَلَيْهِ وَهَدَىٰ ١٢٢ i

その後,主はかれを選び,悔悟を赦され御導きになられた。 (一百二十二)

قَالَ اهْبِطَا مِنْهَا جَمِيعًا ۖ بَعْضُكُمْ لِبَعْضٍ عَدُوٌّ ۖ فَإِمَّا يَأْتِيَنَّكُمْ مِنِّي هُدًى فَمَنِ اتَّبَعَ هُدَايَ فَلَا يَضِلُّ وَلَا يَشْقَىٰ ١٢٣ i

かれは仰せられた。「あなたがた両人は一緒にここから下がれ。あなたたちは栗いに敵である。もしあなたがたにわれから導きが下れば,誰でもわが導きに従う者は迷うことなく,また不幸に陥らないであろう。 (一百二十三)

وَمَنْ أَعْرَضَ عَنْ ذِكْرِي فَإِنَّ لَهُ مَعِيشَةً ضَنْكًا وَنَحْشُرُهُ يَوْمَ الْقِيَامَةِ أَعْمَىٰ ١٢٤ i

だが誰でも,わが訓戒に背を向ける者は,生活が窮屈になり,また審判の日には盲目で甦らされるであろう。」 (一百二十四)

قَالَ رَبِّ لِمَ حَشَرْتَنِي أَعْمَىٰ وَقَدْ كُنْتُ بَصِيرًا ١٢٥ i

かれは言う。「主よ,わたしは(以前)聴限者であったのに,何故わたしを盲目として甦らせたのですか。」 (一百二十五)

قَالَ كَذَٰلِكَ أَتَتْكَ آيَاتُنَا فَنَسِيتَهَا ۖ وَكَذَٰلِكَ الْيَوْمَ تُنْسَىٰ ١٢٦ i

かれは仰せられる。「われの印があなたに下った時,あなたはそれを無視したではないか。今日あなたはそれと同様無視されるのである。」 (一百二十六)

وَكَذَٰلِكَ نَجْزِي مَنْ أَسْرَفَ وَلَمْ يُؤْمِنْ بِآيَاتِ رَبِّهِ ۚ وَلَعَذَابُ الْآخِرَةِ أَشَدُّ وَأَبْقَىٰ ١٢٧ i

われはこのようにして,背いた者と主の印を信じなかった者に報いる。だが来世における懲罰は,更に厳しくまた永続する。 (一百二十七)

أَفَلَمْ يَهْدِ لَهُمْ كَمْ أَهْلَكْنَا قَبْلَهُمْ مِنَ الْقُرُونِ يَمْشُونَ فِي مَسَاكِنِهِمْ ۗ إِنَّ فِي ذَٰلِكَ لَآيَاتٍ لِأُولِي النُّهَىٰ ١٢٨ i

かれらには御導きはなかったのか。かれらより以前にもわれはどんなに多くの世代を滅ぼしたことか。かれら(古人)の住んでいた所を(今)かれらは歩いている。本当にこの中には理知に富む者への印がある。 (一百二十八)

وَلَوْلَا كَلِمَةٌ سَبَقَتْ مِنْ رَبِّكَ لَكَانَ لِزَامًا وَأَجَلٌ مُسَمًّى ١٢٩ i

もし,主から御言葉が下されていなかったならば,(懲罰は)避けられないのである。だが,定められた(猶予の)期限がある。 (一百二十九)

فَاصْبِرْ عَلَىٰ مَا يَقُولُونَ وَسَبِّحْ بِحَمْدِ رَبِّكَ قَبْلَ طُلُوعِ الشَّمْسِ وَقَبْلَ غُرُوبِهَا ۖ وَمِنْ آنَاءِ اللَّيْلِ فَسَبِّحْ وَأَطْرَافَ النَّهَارِ لَعَلَّكَ تَرْضَىٰ ١٣٠ i

だからかれらの言うことを忍び,太陽が上がる前,またそれが沈む前に,あなたの主の栄光を讃えなさい。なお夜の一時も,また昼の両端にも讃えなさい。必ずあなたがたは満たされるであろう。 (一百三十)

وَلَا تَمُدَّنَّ عَيْنَيْكَ إِلَىٰ مَا مَتَّعْنَا بِهِ أَزْوَاجًا مِنْهُمْ زَهْرَةَ الْحَيَاةِ الدُّنْيَا لِنَفْتِنَهُمْ فِيهِ ۚ وَرِزْقُ رَبِّكَ خَيْرٌ وَأَبْقَىٰ ١٣١ i

またわれが,かれらのある部類の者に与えたこの世の生活の栄華に,あなたの目を見張ってはならない。われは,それによってかれらを試・た。あなたの主の賜物こそ至上でまた永続する。 (一百三十一)

وَأْمُرْ أَهْلَكَ بِالصَّلَاةِ وَاصْطَبِرْ عَلَيْهَا ۖ لَا نَسْأَلُكَ رِزْقًا ۖ نَحْنُ نَرْزُقُكَ ۗ وَالْعَاقِبَةُ لِلتَّقْوَىٰ ١٣٢ i

またあなたの家族に礼拝を命じ,そして(あなたも),それを耐えなさい。われはあなたに御恵・を求めない。あなたがたに恵・を与えるのはわれである。善果は主を畏れる者の上にある。 (一百三十二)

وَقَالُوا لَوْلَا يَأْتِينَا بِآيَةٍ مِنْ رَبِّهِ ۚ أَوَلَمْ تَأْتِهِمْ بَيِّنَةُ مَا فِي الصُّحُفِ الْأُولَىٰ ١٣٣ i

またかれらは,「何故かれは,わたしたちに主から一つの印をも(湾?)さないのですか。」と言う。以前の諸啓典にある明証が,かれらに下っているではないか。 (一百三十三)

وَلَوْ أَنَّا أَهْلَكْنَاهُمْ بِعَذَابٍ مِنْ قَبْلِهِ لَقَالُوا رَبَّنَا لَوْلَا أَرْسَلْتَ إِلَيْنَا رَسُولًا فَنَتَّبِعَ آيَاتِكَ مِنْ قَبْلِ أَنْ نَذِلَّ وَنَخْزَىٰ ١٣٤ i

われがもしこれ以前にかれらを処罰して,滅ぼしていたならば,かれらは必ず,「主よ,何故あなたは,わたしたちに使徒を遣わされなかったのですか。そうすればわたしたちは,卑しまれ屈辱を被る前に,あなたの印に従ったでしょうに。」と言ったであろう。 (一百三十四)

قُلْ كُلٌّ مُتَرَبِّصٌ فَتَرَبَّصُوا ۖ فَسَتَعْلَمُونَ مَنْ أَصْحَابُ الصِّرَاطِ السَّوِيِّ وَمَنِ اهْتَدَىٰ ١٣٥ i

言ってやるがいい。「各人は待っている。だからあなたがたも待て。あなたがたはやがて,平坦な道を歩む者は誰か,また導かれた者は誰かを知るであろう。」 (一百三十五)