スーラ・アル=アンカブート(クモ) سُورَة العنكبوت

スーラ・アル=アンカブートは、クルアーンの第29章であり、マッカで啓示されました。これは69の節で構成され、預言者たちとその信者が直面した試練、特にムハンマド(彼に平安あれ)の経験について語られています。また、クモの巣を比喩として用い、アッラー以外のものに頼る人々の基盤がいかに脆弱であるかを示しています。このスーラは、困難な時における忍耐、信仰、そしてアッラーへの完全な依存の重要性を強調しています。

翻訳: スーラ アル・アンカブート (蜘蛛章) سُورَة العنكبوت

بِسْمِ اللَّهِ الرَّحْمَٰنِ الرَّحِيمِ

i

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

الم ١ i

アリフ・ラーム・ミーム。 (一)

أَحَسِبَ النَّاسُ أَنْ يُتْرَكُوا أَنْ يَقُولُوا آمَنَّا وَهُمْ لَا يُفْتَنُونَ ٢ i

人びとは,「わたしたちは信じます。」と言いさえすれば,試・られることはなく,放って置かれると考えるのか。 (二)

وَلَقَدْ فَتَنَّا الَّذِينَ مِنْ قَبْلِهِمْ ۖ فَلَيَعْلَمَنَّ اللَّهُ الَّذِينَ صَدَقُوا وَلَيَعْلَمَنَّ الْكَاذِبِينَ ٣ i

本当にわれは,かれら以前の者も試・ている。アッラーは,誠実な者を必ず知り,また虚言の徒をも必ず知っておられる。 (三)

أَمْ حَسِبَ الَّذِينَ يَعْمَلُونَ السَّيِّئَاتِ أَنْ يَسْبِقُونَا ۚ سَاءَ مَا يَحْكُمُونَ ٤ i

悪を行う者は,われを出し抜くことが出来ると考えているのか。かれらの判断こそ,災いのもとである。 (四)

مَنْ كَانَ يَرْجُو لِقَاءَ اللَّهِ فَإِنَّ أَجَلَ اللَّهِ لَآتٍ ۚ وَهُوَ السَّمِيعُ الْعَلِيمُ ٥ i

アッラーに会うことを切望する者よ,アッラーの(定められる)期限は確かに来る。かれは全聴にして全知であられる。 (五)

وَمَنْ جَاهَدَ فَإِنَّمَا يُجَاهِدُ لِنَفْسِهِ ۚ إِنَّ اللَّهَ لَغَنِيٌّ عَنِ الْعَالَمِينَ ٦ i

信仰のために奮闘努力する者は,自分自身のために奮闘努力しているのである。アッラーは,すべてのものに,何一つ求めない。 (六)

وَالَّذِينَ آمَنُوا وَعَمِلُوا الصَّالِحَاتِ لَنُكَفِّرَنَّ عَنْهُمْ سَيِّئَاتِهِمْ وَلَنَجْزِيَنَّهُمْ أَحْسَنَ الَّذِي كَانُوا يَعْمَلُونَ ٧ i

われは信仰して,善行に動しむ者には,いろいろの罪を取り消し,その行った最善のことに,必ず報いるであろう。 (七)

وَوَصَّيْنَا الْإِنْسَانَ بِوَالِدَيْهِ حُسْنًا ۖ وَإِنْ جَاهَدَاكَ لِتُشْرِكَ بِي مَا لَيْسَ لَكَ بِهِ عِلْمٌ فَلَا تُطِعْهُمَا ۚ إِلَيَّ مَرْجِعُكُمْ فَأُنَبِّئُكُمْ بِمَا كُنْتُمْ تَعْمَلُونَ ٨ i

われは人間に,両親に対して規切にするよう命じた。だがもしかれら(両親)が,あなたに対し何だか分らないものをわれに配するように強いるならば,かれらに従ってはならない。あなたがたは(皆)われの許に帰る。その時われは,あなたがたの行ったことを告げるであろう。 (八)

وَالَّذِينَ آمَنُوا وَعَمِلُوا الصَّالِحَاتِ لَنُدْخِلَنَّهُمْ فِي الصَّالِحِينَ ٩ i

われは信仰して,善行に勤しむ者を,必ず正義の人びとの中に入らせるであろう。 (九)

وَمِنَ النَّاسِ مَنْ يَقُولُ آمَنَّا بِاللَّهِ فَإِذَا أُوذِيَ فِي اللَّهِ جَعَلَ فِتْنَةَ النَّاسِ كَعَذَابِ اللَّهِ وَلَئِنْ جَاءَ نَصْرٌ مِنْ رَبِّكَ لَيَقُولُنَّ إِنَّا كُنَّا مَعَكُمْ ۚ أَوَلَيْسَ اللَّهُ بِأَعْلَمَ بِمَا فِي صُدُورِ الْعَالَمِينَ ١٠ i

人びとの中には,「わたしたちは,アッラーを信仰します。」と言うが,一度アッラー(の道のため)に苦難に会うと,人間の迫害をまるでアッラーの懲罰であるかのように考える者がある。またもしあなたの主からの助け(と勝利)が(声?)されると,かれらは必ず,「本当にわたしたちは,あなたがたと一緒でした。」などと言う。万人の胸の中に抱くことを最もよく知る御方は,アッラーではないか。 (十)

وَلَيَعْلَمَنَّ اللَّهُ الَّذِينَ آمَنُوا وَلَيَعْلَمَنَّ الْمُنَافِقِينَ ١١ i

アッラーは,信仰する者たちも,偽信者たちをも必ず知っておられる。 (十一)

وَقَالَ الَّذِينَ كَفَرُوا لِلَّذِينَ آمَنُوا اتَّبِعُوا سَبِيلَنَا وَلْنَحْمِلْ خَطَايَاكُمْ وَمَا هُمْ بِحَامِلِينَ مِنْ خَطَايَاهُمْ مِنْ شَيْءٍ ۖ إِنَّهُمْ لَكَاذِبُونَ ١٢ i

不信心の者は,信仰する者に向かって,「わたしたちの道に従いなさい。わたしたちがあなたがたの罪を必ず負ってやりましょう。」と言う。だがかれらは,少しもあなたがたの罪を,負いはしない。本当にかれらは虚言の徒である。 (十二)

وَلَيَحْمِلُنَّ أَثْقَالَهُمْ وَأَثْقَالًا مَعَ أَثْقَالِهِمْ ۖ وَلَيُسْأَلُنَّ يَوْمَ الْقِيَامَةِ عَمَّا كَانُوا يَفْتَرُونَ ١٣ i

だがかれらは自分の重荷を負い,そのうえ(外の)重荷をも負うであろう。復活の日には,かれらの虚構していたことに就いて必ず問いただされるであろう。 (十三)

وَلَقَدْ أَرْسَلْنَا نُوحًا إِلَىٰ قَوْمِهِ فَلَبِثَ فِيهِمْ أَلْفَ سَنَةٍ إِلَّا خَمْسِينَ عَامًا فَأَخَذَهُمُ الطُّوفَانُ وَهُمْ ظَالِمُونَ ١٤ i

且つてわれはヌーフを,その民に遣わした。かれはその間に留まること,千年に欠ける50年。人びとは悪を行っている間に,洪水に襲われた。 (十四)

فَأَنْجَيْنَاهُ وَأَصْحَابَ السَّفِينَةِ وَجَعَلْنَاهَا آيَةً لِلْعَالَمِينَ ١٥ i

その時われは,かれと方舟の仲間とを救い,それを万有のための訓戒とした。 (十五)

وَإِبْرَاهِيمَ إِذْ قَالَ لِقَوْمِهِ اعْبُدُوا اللَّهَ وَاتَّقُوهُ ۖ ذَٰلِكُمْ خَيْرٌ لَكُمْ إِنْ كُنْتُمْ تَعْلَمُونَ ١٦ i

そしてイブラーヒームがその民にこう言った時を思え。「アッラーに仕え,かれを畏れなさい。それがあなたがたのために最も良い。もしあなたがたが理解するならば。 (十六)

إِنَّمَا تَعْبُدُونَ مِنْ دُونِ اللَّهِ أَوْثَانًا وَتَخْلُقُونَ إِفْكًا ۚ إِنَّ الَّذِينَ تَعْبُدُونَ مِنْ دُونِ اللَّهِ لَا يَمْلِكُونَ لَكُمْ رِزْقًا فَابْتَغُوا عِنْدَ اللَّهِ الرِّزْقَ وَاعْبُدُوهُ وَاشْكُرُوا لَهُ ۖ إِلَيْهِ تُرْجَعُونَ ١٧ i

あなたがたは,アッラーを差し置いて偶像を拝し,虚偽を捏造しているに過ぎない。あなたがたがアッラーを差し置いて拝するものたちは,あなたがたに御恵・を与える力はない。だから,アッラーから糧を求め,かれに仕え,感謝しなさい。あなたがたはかれの御許に帰されるのである。 (十七)

وَإِنْ تُكَذِّبُوا فَقَدْ كَذَّبَ أُمَمٌ مِنْ قَبْلِكُمْ ۖ وَمَا عَلَى الرَّسُولِ إِلَّا الْبَلَاغُ الْمُبِينُ ١٨ i

あなたがたが嘘付き呼ばわりしても(よい)。だがあなたがた以前の諸民族も嘘付き呼ばわりしたものである。使徒は,只公明に伝えるだけである。」 (十八)

أَوَلَمْ يَرَوْا كَيْفَ يُبْدِئُ اللَّهُ الْخَلْقَ ثُمَّ يُعِيدُهُ ۚ إِنَّ ذَٰلِكَ عَلَى اللَّهِ يَسِيرٌ ١٩ i

かれらはアッラーが,如何に創造をなされ,それからそれを繰り返されるかを知らないのか。それはアッラーには,本当に容易なことである。 (十九)

قُلْ سِيرُوا فِي الْأَرْضِ فَانْظُرُوا كَيْفَ بَدَأَ الْخَلْقَ ۚ ثُمَّ اللَّهُ يُنْشِئُ النَّشْأَةَ الْآخِرَةَ ۚ إِنَّ اللَّهَ عَلَىٰ كُلِّ شَيْءٍ قَدِيرٌ ٢٠ i

言ってやるがいい。「地上を旅して観察せよ。かれが如何に,最初の創造をなされたかを。やがてアッラーは,最後の(甦りの)創造をなされる。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。」 (二十)

يُعَذِّبُ مَنْ يَشَاءُ وَيَرْحَمُ مَنْ يَشَاءُ ۖ وَإِلَيْهِ تُقْلَبُونَ ٢١ i

かれは御望・の者を罰し,御望・の者に慈悲を垂れられる。あなたがたはかれの御許に返されるのである。 (二十一)

وَمَا أَنْتُمْ بِمُعْجِزِينَ فِي الْأَرْضِ وَلَا فِي السَّمَاءِ ۖ وَمَا لَكُمْ مِنْ دُونِ اللَّهِ مِنْ وَلِيٍّ وَلَا نَصِيرٍ ٢٢ i

あなたがたは天においても地にあっても,かれ(の計画)を,頓挫させることは出来ない。またアッラーの外に,あなたの守護者も援助者もないのである。 (二十二)

وَالَّذِينَ كَفَرُوا بِآيَاتِ اللَّهِ وَلِقَائِهِ أُولَٰئِكَ يَئِسُوا مِنْ رَحْمَتِي وَأُولَٰئِكَ لَهُمْ عَذَابٌ أَلِيمٌ ٢٣ i

アッラーの印を信じないでまた,かれとの会見を信じない者にはわれの慈悲に与かる望・はなく,痛ましい懲罰があるだけである。 (二十三)

فَمَا كَانَ جَوَابَ قَوْمِهِ إِلَّا أَنْ قَالُوا اقْتُلُوهُ أَوْ حَرِّقُوهُ فَأَنْجَاهُ اللَّهُ مِنَ النَّارِ ۚ إِنَّ فِي ذَٰلِكَ لَآيَاتٍ لِقَوْمٍ يُؤْمِنُونَ ٢٤ i

かれ(イブラーヒーム)の民の返答は,只「かれを殺しなさい。焼いてしまいなさい。」と言うだけであった。だがアッラーは,火からかれを御救いなされた。本当にこの中には,信仰する人びとへの印がある。 (二十四)

وَقَالَ إِنَّمَا اتَّخَذْتُمْ مِنْ دُونِ اللَّهِ أَوْثَانًا مَوَدَّةَ بَيْنِكُمْ فِي الْحَيَاةِ الدُّنْيَا ۖ ثُمَّ يَوْمَ الْقِيَامَةِ يَكْفُرُ بَعْضُكُمْ بِبَعْضٍ وَيَلْعَنُ بَعْضُكُمْ بَعْضًا وَمَأْوَاكُمُ النَّارُ وَمَا لَكُمْ مِنْ نَاصِرِينَ ٢٥ i

またかれは言った。「あなたがたは,現世の生活において,お栗いの慈し・としてアッラーを差し置いて偶像を崇めている。だが復活の日には,あなたがたは栗いに(関係を)否認し合い,栗いに呪い合うであろう。住まいといえば火獄であり,あなたがたには,どんな救助者もないのである。」 (二十五)

فَآمَنَ لَهُ لُوطٌ ۘ وَقَالَ إِنِّي مُهَاجِرٌ إِلَىٰ رَبِّي ۖ إِنَّهُ هُوَ الْعَزِيزُ الْحَكِيمُ ٢٦ i

ルートはかれ(イブラーヒーム)を信じた。かれは言った。「わたしは主(の御許)に移り住もう。本当にかれは偉力ならびなく英明であられる。」 (二十六)

وَوَهَبْنَا لَهُ إِسْحَاقَ وَيَعْقُوبَ وَجَعَلْنَا فِي ذُرِّيَّتِهِ النُّبُوَّةَ وَالْكِتَابَ وَآتَيْنَاهُ أَجْرَهُ فِي الدُّنْيَا ۖ وَإِنَّهُ فِي الْآخِرَةِ لَمِنَ الصَّالِحِينَ ٢٧ i

またわれは,かれにイスハークとヤアコーブ(のような子孫)を授け,その子孫の間に,預言の天分と啓典を授け,現世の報奨をも与えた。来世においてもかれは必ず正義の徒の仲間になろう。 (二十七)

وَلُوطًا إِذْ قَالَ لِقَوْمِهِ إِنَّكُمْ لَتَأْتُونَ الْفَاحِشَةَ مَا سَبَقَكُمْ بِهَا مِنْ أَحَدٍ مِنَ الْعَالَمِينَ ٢٨ i

またルート(を遣わし),かれの民に,こう言った時を思え。「あなたがたは醜行をしている。あなたがた以前に,どんな世代でもしなかったことを。 (二十八)

أَئِنَّكُمْ لَتَأْتُونَ الرِّجَالَ وَتَقْطَعُونَ السَّبِيلَ وَتَأْتُونَ فِي نَادِيكُمُ الْمُنْكَرَ ۖ فَمَا كَانَ جَوَابَ قَوْمِهِ إِلَّا أَنْ قَالُوا ائْتِنَا بِعَذَابِ اللَّهِ إِنْ كُنْتَ مِنَ الصَّادِقِينَ ٢٩ i

本当にあなたがたは,男性に近付き,また公道で強盗を働く。またあなたがたの集りで,忌まわしい事をしている。」だがかれの民は(答えて),只「あなたが真実を言うのなら,わたしたちにアッラーの懲罰を(湾?)して・なさい。」と言うだけである。 (二十九)

قَالَ رَبِّ انْصُرْنِي عَلَى الْقَوْمِ الْمُفْسِدِينَ ٣٠ i

かれは(祈って)言った。「主よ,不義を行う民からわたしを御助け下さい。」 (三十)

وَلَمَّا جَاءَتْ رُسُلُنَا إِبْرَاهِيمَ بِالْبُشْرَىٰ قَالُوا إِنَّا مُهْلِكُو أَهْلِ هَٰذِهِ الْقَرْيَةِ ۖ إِنَّ أَهْلَهَا كَانُوا ظَالِمِينَ ٣١ i

わが使徒(天使)たちが,吉報を持ってイブラーヒームの許に来た時,かれらは言った。「わたしたちは,この町の人びとを滅ぼそうとするところである。本当にここの住民は,悪を行う者たちばかりである。」 (三十一)

قَالَ إِنَّ فِيهَا لُوطًا ۚ قَالُوا نَحْنُ أَعْلَمُ بِمَنْ فِيهَا ۖ لَنُنَجِّيَنَّهُ وَأَهْلَهُ إِلَّا امْرَأَتَهُ كَانَتْ مِنَ الْغَابِرِينَ ٣٢ i

かれ(イブラーヒーム)は言った。「だがルートがそこにいる。」かれらは言った。「わたしたちは,誰がそこにいるかを熟知している。落伍者であるかれ(ルート)の妻の外は,かれもその家族をも必ず救うであろう。」 (三十二)

وَلَمَّا أَنْ جَاءَتْ رُسُلُنَا لُوطًا سِيءَ بِهِمْ وَضَاقَ بِهِمْ ذَرْعًا وَقَالُوا لَا تَخَفْ وَلَا تَحْزَنْ ۖ إِنَّا مُنَجُّوكَ وَأَهْلَكَ إِلَّا امْرَأَتَكَ كَانَتْ مِنَ الْغَابِرِينَ ٣٣ i

わが使徒たち(天使)がルートのところに来た時,かれは自分の無力さを感じ,人びとのため悲しんだ。かれら(天使)は言った。「心配してはなりません。悲しんではなりません。本当にわたしたちは,あなたの妻の外は,あなたとあなたの家族をも救います。かの女は落伍者です。 (三十三)

إِنَّا مُنْزِلُونَ عَلَىٰ أَهْلِ هَٰذِهِ الْقَرْيَةِ رِجْزًا مِنَ السَّمَاءِ بِمَا كَانُوا يَفْسُقُونَ ٣٤ i

わたしたちは,この町の人びとが邪悪無法なため,かれらに天から懲罰を下そうとするところです。」 (三十四)

وَلَقَدْ تَرَكْنَا مِنْهَا آيَةً بَيِّنَةً لِقَوْمٍ يَعْقِلُونَ ٣٥ i

本当にわれはそれによって,理解ある民への明白な印を残したのである。 (三十五)

وَإِلَىٰ مَدْيَنَ أَخَاهُمْ شُعَيْبًا فَقَالَ يَا قَوْمِ اعْبُدُوا اللَّهَ وَارْجُوا الْيَوْمَ الْآخِرَ وَلَا تَعْثَوْا فِي الْأَرْضِ مُفْسِدِينَ ٣٦ i

またわれは,マドヤン(の民)にその同胞のシュアイブを遺わした。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕え,最後の日を待ち望・なさい。悪を行って,地上を退廃させてはならない。」 (三十六)

فَكَذَّبُوهُ فَأَخَذَتْهُمُ الرَّجْفَةُ فَأَصْبَحُوا فِي دَارِهِمْ جَاثِمِينَ ٣٧ i

だがかれらはかれを嘘付き呼ばわりした。それで大地震がかれらを襲い,翌朝かれらは家の中に平伏していた。 (三十七)

وَعَادًا وَثَمُودَ وَقَدْ تَبَيَّنَ لَكُمْ مِنْ مَسَاكِنِهِمْ ۖ وَزَيَّنَ لَهُمُ الشَّيْطَانُ أَعْمَالَهُمْ فَصَدَّهُمْ عَنِ السَّبِيلِ وَكَانُوا مُسْتَبْصِرِينَ ٣٨ i

またアードとサムードに就いては,(廃墟と化した)かれらの住まいによって,既にあなたがたに明瞭である。悪魔はかれらに,自分の所行を立派であると思わせ,立派な見識を与えられていたのに,正道から離反させる結末となった。 (三十八)

وَقَارُونَ وَفِرْعَوْنَ وَهَامَانَ ۖ وَلَقَدْ جَاءَهُمْ مُوسَىٰ بِالْبَيِّنَاتِ فَاسْتَكْبَرُوا فِي الْأَرْضِ وَمَا كَانُوا سَابِقِينَ ٣٩ i

またカールーンとフィルアウンとハーマーンのことであるが,ムーサーが明証をかれに(西?)したが,それでもかれらは,地上において高慢であった。だがかれらは(われを)淡ぐことは出来なかった。 (三十九)

فَكُلًّا أَخَذْنَا بِذَنْبِهِ ۖ فَمِنْهُمْ مَنْ أَرْسَلْنَا عَلَيْهِ حَاصِبًا وَمِنْهُمْ مَنْ أَخَذَتْهُ الصَّيْحَةُ وَمِنْهُمْ مَنْ خَسَفْنَا بِهِ الْأَرْضَ وَمِنْهُمْ مَنْ أَغْرَقْنَا ۚ وَمَا كَانَ اللَّهُ لِيَظْلِمَهُمْ وَلَٰكِنْ كَانُوا أَنْفُسَهُمْ يَظْلِمُونَ ٤٠ i

それでわれは,かれらをそれぞれの罪に照らして懲じめた。ある者には砂石の暴風を送り,またある者には一声(懲罰)で襲いかかり,またある者は大地に沈め,またある者を溺れさせた。これはアッラーがかれらを損なったのではない。かれらが,自分を損なったのである。 (四十)

مَثَلُ الَّذِينَ اتَّخَذُوا مِنْ دُونِ اللَّهِ أَوْلِيَاءَ كَمَثَلِ الْعَنْكَبُوتِ اتَّخَذَتْ بَيْتًا ۖ وَإِنَّ أَوْهَنَ الْبُيُوتِ لَبَيْتُ الْعَنْكَبُوتِ ۖ لَوْ كَانُوا يَعْلَمُونَ ٤١ i

アッラーを差し置いて外の主人を取る者を譬えれば,(自分で自分の)家を造る蜘蛛のようなものである。本当に家の中でも最も弱いのは,蜘蛛の家である。かれらに分っていたならば,よかったのに。 (四十一)

إِنَّ اللَّهَ يَعْلَمُ مَا يَدْعُونَ مِنْ دُونِهِ مِنْ شَيْءٍ ۚ وَهُوَ الْعَزِيزُ الْحَكِيمُ ٤٢ i

本当にアッラーは,かれを差し置いてかれらが祈る,凡てのことを知っておられる。かれは偉力ならびなく英明であられる。 (四十二)

وَتِلْكَ الْأَمْثَالُ نَضْرِبُهَا لِلنَّاسِ ۖ وَمَا يَعْقِلُهَا إِلَّا الْعَالِمُونَ ٤٣ i

これらは,われが人間のために提示する譬えである。だが知識ある者の外は,これを理解しない。 (四十三)

خَلَقَ اللَّهُ السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضَ بِالْحَقِّ ۚ إِنَّ فِي ذَٰلِكَ لَآيَةً لِلْمُؤْمِنِينَ ٤٤ i

アッラーは諸天と大地を真理によって創造なされた。本当にその中には信仰する者への印がある。 (四十四)

اتْلُ مَا أُوحِيَ إِلَيْكَ مِنَ الْكِتَابِ وَأَقِمِ الصَّلَاةَ ۖ إِنَّ الصَّلَاةَ تَنْهَىٰ عَنِ الْفَحْشَاءِ وَالْمُنْكَرِ ۗ وَلَذِكْرُ اللَّهِ أَكْبَرُ ۗ وَاللَّهُ يَعْلَمُ مَا تَصْنَعُونَ ٤٥ i

あなたに啓示された啓典を読誦し,礼拝の務めを守れ。本当に礼拝は,(人を)醜行と悪事から遠ざける。なお最も大事なことは,アッラーを唱念〔ズィクル〕することである。アッラーはあなたがたの行うことを知っておられる。 (四十五)

وَلَا تُجَادِلُوا أَهْلَ الْكِتَابِ إِلَّا بِالَّتِي هِيَ أَحْسَنُ إِلَّا الَّذِينَ ظَلَمُوا مِنْهُمْ ۖ وَقُولُوا آمَنَّا بِالَّذِي أُنْزِلَ إِلَيْنَا وَأُنْزِلَ إِلَيْكُمْ وَإِلَٰهُنَا وَإِلَٰهُكُمْ وَاحِدٌ وَنَحْنُ لَهُ مُسْلِمُونَ ٤٦ i

また啓典の民と議論するさいには,立派な (態度で)臨め。かれらの中不義を行う者にたいしては別である。それで言ってやるがいい。「わたしたちは,自分たちに下されたものを信じ,あなたがたに下されたものを信じる。わたしたちの神(アッラー)とあなたがたの神(アッラー) は同じである。わたしたちはかれに服従,帰依するのである。」 (四十六)

وَكَذَٰلِكَ أَنْزَلْنَا إِلَيْكَ الْكِتَابَ ۚ فَالَّذِينَ آتَيْنَاهُمُ الْكِتَابَ يُؤْمِنُونَ بِهِ ۖ وَمِنْ هَٰؤُلَاءِ مَنْ يُؤْمِنُ بِهِ ۚ وَمَا يَجْحَدُ بِآيَاتِنَا إِلَّا الْكَافِرُونَ ٤٧ i

われはこのように,あなたに啓典を下したのである。それで,啓典を与えられている者は,この(クルアーン)を信じる。またこれら(マッカの人びと)の中にも,それを信じる者がある。わが印を否定するのは不信心者だけである。 (四十七)

وَمَا كُنْتَ تَتْلُو مِنْ قَبْلِهِ مِنْ كِتَابٍ وَلَا تَخُطُّهُ بِيَمِينِكَ ۖ إِذًا لَارْتَابَ الْمُبْطِلُونَ ٤٨ i

あなたはそれ(が下る)以前は,どんな啓典も読まなかった。またあなたの右手でそれを書き写しもしなかった。そうであったから,虚偽に従う者は疑いを抱いたであろう。 (四十八)

بَلْ هُوَ آيَاتٌ بَيِّنَاتٌ فِي صُدُورِ الَّذِينَ أُوتُوا الْعِلْمَ ۚ وَمَا يَجْحَدُ بِآيَاتِنَا إِلَّا الظَّالِمُونَ ٤٩ i

いやこれこそは,知識を与えられた者の胸の中にある明瞭な印である。不義の徒の外は,わが印を否定しない。 (四十九)

وَقَالُوا لَوْلَا أُنْزِلَ عَلَيْهِ آيَاتٌ مِنْ رَبِّهِ ۖ قُلْ إِنَّمَا الْآيَاتُ عِنْدَ اللَّهِ وَإِنَّمَا أَنَا نَذِيرٌ مُبِينٌ ٥٠ i

だがかれらは,「何故主から印が,かれに下されないのか。」と言う。言ってやるがいい。「本当に凡ての印は,アッラーの御許にある。わたしは公明な警告者に過ぎないのである。」 (五十)

أَوَلَمْ يَكْفِهِمْ أَنَّا أَنْزَلْنَا عَلَيْكَ الْكِتَابَ يُتْلَىٰ عَلَيْهِمْ ۚ إِنَّ فِي ذَٰلِكَ لَرَحْمَةً وَذِكْرَىٰ لِقَوْمٍ يُؤْمِنُونَ ٥١ i

われがあなたに啓典を下し,あなたはかれらに読誦する。かれらにはそれで十分ではないか。本当にその中には,信仰する者への慈悲と訓戒がある。 (五十一)

قُلْ كَفَىٰ بِاللَّهِ بَيْنِي وَبَيْنَكُمْ شَهِيدًا ۖ يَعْلَمُ مَا فِي السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضِ ۗ وَالَّذِينَ آمَنُوا بِالْبَاطِلِ وَكَفَرُوا بِاللَّهِ أُولَٰئِكَ هُمُ الْخَاسِرُونَ ٥٢ i

言ってやるがいい。「アッラーは,わたしとあなたがたとの間の,立証者として万全であられる。かれは天と地にあるものを知っておられる。だから虚偽を信じてアッラーに背く者は失敗する者であろう。」 (五十二)

وَيَسْتَعْجِلُونَكَ بِالْعَذَابِ ۚ وَلَوْلَا أَجَلٌ مُسَمًّى لَجَاءَهُمُ الْعَذَابُ وَلَيَأْتِيَنَّهُمْ بَغْتَةً وَهُمْ لَا يَشْعُرُونَ ٥٣ i

かれらは懲罰を急ぐよう,あなたに求める。もし定められた期限がなかったならば,懲罰は必ずかれらに来るであろう。かれらが気付かない中に,突然必ず襲うであろう。 (五十三)

يَسْتَعْجِلُونَكَ بِالْعَذَابِ وَإِنَّ جَهَنَّمَ لَمُحِيطَةٌ بِالْكَافِرِينَ ٥٤ i

かれらは懲罰を急ぐよう,あなたに求める。だが地獄は不信心者たちを取り囲んでいる。 (五十四)

يَوْمَ يَغْشَاهُمُ الْعَذَابُ مِنْ فَوْقِهِمْ وَمِنْ تَحْتِ أَرْجُلِهِمْ وَيَقُولُ ذُوقُوا مَا كُنْتُمْ تَعْمَلُونَ ٥٥ i

懲罰は,かれらの上からまた足元からかれらを襲う。その日(声があって)言われよう。「あなたの行ったことを味わえ。」 (五十五)

يَا عِبَادِيَ الَّذِينَ آمَنُوا إِنَّ أَرْضِي وَاسِعَةٌ فَإِيَّايَ فَاعْبُدُونِ ٥٦ i

信仰するわれのしもべよ,本当にわが大地は,広いのである。だからわれだけに仕えなさい。 (五十六)

كُلُّ نَفْسٍ ذَائِقَةُ الْمَوْتِ ۖ ثُمَّ إِلَيْنَا تُرْجَعُونَ ٥٧ i

各人は死を味わわなければならない。それからあなたがたはわれの許に帰されるのである。 (五十七)

وَالَّذِينَ آمَنُوا وَعَمِلُوا الصَّالِحَاتِ لَنُبَوِّئَنَّهُمْ مِنَ الْجَنَّةِ غُرَفًا تَجْرِي مِنْ تَحْتِهَا الْأَنْهَارُ خَالِدِينَ فِيهَا ۚ نِعْمَ أَجْرُ الْعَامِلِينَ ٥٨ i

だが信仰して,正しい行いに勤しむ者は,われは必ず下に川が流れている楽園の高殿に,落ち着かせよう。(永遠に)そこに住まわせる。(善)行を行う者への報奨は,何と有り難いことよ。 (五十八)

الَّذِينَ صَبَرُوا وَعَلَىٰ رَبِّهِمْ يَتَوَكَّلُونَ ٥٩ i

これはよく耐え忍び,自分の主を信頼している者(への報奨である)。 (五十九)

وَكَأَيِّنْ مِنْ دَابَّةٍ لَا تَحْمِلُ رِزْقَهَا اللَّهُ يَرْزُقُهَا وَإِيَّاكُمْ ۚ وَهُوَ السَّمِيعُ الْعَلِيمُ ٦٠ i

自分の糧を確保出来ないものが如何に多いことであろうか。アッラー(こそ)はそれらとあなたがたを養われる。かれは全聴にして全知であられる。 (六十)

وَلَئِنْ سَأَلْتَهُمْ مَنْ خَلَقَ السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضَ وَسَخَّرَ الشَّمْسَ وَالْقَمَرَ لَيَقُولُنَّ اللَّهُ ۖ فَأَنَّىٰ يُؤْفَكُونَ ٦١ i

もしあなたがかれらに,「誰が天と地を創造し,太陽と月を服従させるか。」と問うならば,かれらは必ず「アッラー。」と言うであろう。それならどうしてかれらは迷い去るのか。 (六十一)

اللَّهُ يَبْسُطُ الرِّزْقَ لِمَنْ يَشَاءُ مِنْ عِبَادِهِ وَيَقْدِرُ لَهُ ۚ إِنَّ اللَّهَ بِكُلِّ شَيْءٍ عَلِيمٌ ٦٢ i

アッラーは,御自分のしもべの中,御好・の者には糧を豊かに与え,また(そう望まれる)者には切り詰められる。本当にアッラーは,凡てのことを熟知なされる。 (六十二)

وَلَئِنْ سَأَلْتَهُمْ مَنْ نَزَّلَ مِنَ السَّمَاءِ مَاءً فَأَحْيَا بِهِ الْأَرْضَ مِنْ بَعْدِ مَوْتِهَا لَيَقُولُنَّ اللَّهُ ۚ قُلِ الْحَمْدُ لِلَّهِ ۚ بَلْ أَكْثَرُهُمْ لَا يَعْقِلُونَ ٦٣ i

もしあなたが,かれらに「誰が天から雨を降らせ,それで,死んでいる大地を甦らせるのか。」と,問うならば,かれらはきっと「アッラー。」と言うであろう。言え,「アッラーを讃えます」。だがかれらの多くは理解しない。 (六十三)

وَمَا هَٰذِهِ الْحَيَاةُ الدُّنْيَا إِلَّا لَهْوٌ وَلَعِبٌ ۚ وَإِنَّ الدَّارَ الْآخِرَةَ لَهِيَ الْحَيَوَانُ ۚ لَوْ كَانُوا يَعْلَمُونَ ٦٤ i

現世の生活は,遊びや戯れに過ぎない。だが来世こそは,真実の生活である。もしかれらに分っていたならば。 (六十四)

فَإِذَا رَكِبُوا فِي الْفُلْكِ دَعَوُا اللَّهَ مُخْلِصِينَ لَهُ الدِّينَ فَلَمَّا نَجَّاهُمْ إِلَى الْبَرِّ إِذَا هُمْ يُشْرِكُونَ ٦٥ i

かれらは船に乗っていると,アッラーに信心の誠を尽くして祈る。だがかれが,陸に無事に送って下さると,たちまちかれらは偶像を拝・だし, (六十五)

لِيَكْفُرُوا بِمَا آتَيْنَاهُمْ وَلِيَتَمَتَّعُوا ۖ فَسَوْفَ يَعْلَمُونَ ٦٦ i

われがかれらに授けたものを,有り難く思わず,享楽に耽る。だがかれらは,今に分るであろう。 (六十六)

أَوَلَمْ يَرَوْا أَنَّا جَعَلْنَا حَرَمًا آمِنًا وَيُتَخَطَّفُ النَّاسُ مِنْ حَوْلِهِمْ ۚ أَفَبِالْبَاطِلِ يُؤْمِنُونَ وَبِنِعْمَةِ اللَّهِ يَكْفُرُونَ ٦٧ i

かれらは,われが安全な聖域を定めたのに気付かないのか。まわりでは人びとが略奪に晒されているというのに。それでもかれらは虚構を信じ,アッラーの恩恵に背を向けるのか。 (六十七)

وَمَنْ أَظْلَمُ مِمَّنِ افْتَرَىٰ عَلَى اللَّهِ كَذِبًا أَوْ كَذَّبَ بِالْحَقِّ لَمَّا جَاءَهُ ۚ أَلَيْسَ فِي جَهَنَّمَ مَثْوًى لِلْكَافِرِينَ ٦٨ i

アッラーに対し虚偽を捏造し,真理が(お?)されたのに,それを虚偽であるとする者よりも,酷い不義者があろうか。地獄の中には,不信心者たちの住・かがないとでも思うのか。 (六十八)

وَالَّذِينَ جَاهَدُوا فِينَا لَنَهْدِيَنَّهُمْ سُبُلَنَا ۚ وَإِنَّ اللَّهَ لَمَعَ الْمُحْسِنِينَ ٦٩ i

だがわれ(の道)のために奮闘努力〔ジハード〕する者は,必ずわが道に導くであろう。本当にアッラーは善い行いの者と共におられる。 (六十九)